トガツキ。

霧の夜に。

のしかかる重みに目を覚ませば
張り詰めた雲が飛んで行った
許されようと思って
箱を開いて
これで全てですなんて言って色を見た

何が痛いって何も怖くないからと
喉ごと破って逃げ出して
昇華していく現実を哀れんだ僕に

静寂は笑って手を差し伸べた


くすぶった熱にうなされ続けて
吐き出した本音も疎ましくて
「虹を見たかったんだ」
「雨を裂いてでも?」
許さないからと言って微笑んだ腕は

どうでも良いとか何も要らないだとか
嘘を吐いてまた飲み込んで
偶然に一拍おいて気付いてしまった
僕という真実

例え沈んでも何も掴めはしないんだと
押し退けて消した痛みさえ
「迎えに行くから」
滴る木の葉が貼り付いて笑うんだ
後戻り出来ないそんな霧の夜に。
2006.11.21
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