カタルシス
さよならにはいくつか意味があって
捉えた顔は笑っていたから見落としていたみたい
光だと思っていた見つめる先が鈍く落ちる
私が私であるはずのその存在を疑ったときに
膨れた体積に頭は追い付かなくなって
通りすがりの素敵な言葉が にっこり微笑んで挨拶をくれた
ああ、素敵ね と見送ったのはいつのこと
とても綺麗だったのは覚えているのに顔が思い出せないの
出会った記憶も気付いたらなくなって
そんな毎日の中で見つけたガラクタを拾い上げて
宝石と名付けてはそっと安物のビンに詰め込んできたのに
足の踏み場もないくらい掻き集めたビンの海で
どうしようもなく私を傷つけると思い込んでいた
夜明け前までメンタルは水分多めに
ふやけて崩れる その繰り返し
「私はどこへ行くのでしょう」
「どこへも行けぬのですよ」
脳味噌の囁きに酷く安心した 浅い眠りの底
目蓋を開いたらあるはずの幸福に満ちた世界。
2014.03.23