トガツキ。

リバーシブルメモリィ。

このまま朝が来なければ良いのに。
雨の中で思い浮かべた夕闇は懐かしさに痛みを伴っていた。
更なる幸福を願ったばかりに
誰ともなく蔑んだ色を僕は捨てれば良かったのだ。

段々と消えていく現実が怖かった
言葉だけを、そう、気付かぬうちに、
繰り返すうちに自分が愛しいのだと
風は呟いて冷たく僕を切った。

いつまででも見ていたかったのは
木の葉ではなく行く先だったのかもしれない。
ふと少し寂しくなって、自分の理由を問い質したくなったのだ。
本当は誰にも聞かせたくなかっただけなのだろうか。

軽い幻想だけが頭を回っている
助けてと、きっと、強く思えば
楽な方向へ行けると思ったのだろう
そんな見下された過去が要らなかった。

今でもまだ現実を視るのだ。
どっちつかずの生温い夢は、宛ら麻薬のように
ひたすら白い記憶の中に根を張り夢を侵し尽くそうとする。
まだ、多分、何処に居るのかも解からずに
僕は未だ存在の無い理由へ手を伸ばしている。
2006.10.13
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