トガツキ。

記憶渫い。

攫ってください、と言うと君は頷いた
嬉しかったのでしょう 僕の心は何か満たされずに
ただ空になりたいと
解っているくせに願ってしまった


乾く前に目を閉じて
そうすれば誰にも悟られないから
点と線で繋がれば
何処までも逃げられるような気がして
嗚呼 そんな瞳で笑わないで

届かない度にまた手を伸ばすのは罪でしょうか
例えば その喉元に触れることが出来たなら
僕はきっと 光さえ

笑ってください、と言えば惑えたでしょうか
引き返すことなら 染まる前には失えただろうに
例え嘘だとしても 虚無でも
意味もなく自由が欲しかった


泣いて それで終わるなら
初めからこれほど焦がれたりしない
嗚呼 堕落したまま待たせないで

突き刺さる影がまた根を張るのなら戻れますか
伸ばした手が届くなら逃げても許されますか
僕の弱い 現実も

攫ってください、と言うと君は頷いた
千切れた約束すら 砕く意思にはもう追いつけなくて
ただ夢が視たかった
解っていたくせに願ってしまった


空になれれば救われたのでしょうか
灰と散れれば満たされたのでしょうか


笑ってください、と言って微笑んだ君は。
2007.04.01
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