トガツキ。

朝と黒猫。

林檎を一つ食べた
まだ青くて苦くて それは罪の味がした
怖くなって捨てた
未来を切り取られた まるで今の僕だった

夢の定義なんて知らない
生きていれば必要ないから

扉を開けてみた
引っ掻いて体当たりしたら錠は外れた
怖くて目を閉じた
踏み出せずにいたら 扉は閉まっていた

酷く憧れた向こう側から
僕を呼んだ誰かの足元すら見られずに

自分に嘘を吐いた日 何かが弾け飛んだ
誰かに開けてもらった 扉はもう見当たらない


狭い世界が嫌いで
広い世界を見たくて でも
知らない世界は怖くて
毛布とぬるま湯の中でまた目を閉じた


誰かが摘んできてくれる小さな白い花と
窓からの景色さえあればそれで良かった
他に何も望まない そうやって言い聞かせた

林檎を一つ食べた
青くて涙が出た

自分に吐いた嘘が許される日が来るなら
あなたが開けてくれた扉を
もう一度探せるのに。
2008.02.22
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