抱懐連鎖。
もう会えないだろうね、なんて別れる恋人でもあるまいし君と僕を結ぶ言葉など この世界には何処にも存在しない
それでも ただ然様ならを言うには僕は君に惹かれ過ぎた
ひとつ ふたつ 綴じていた白紙は風で舞い上がる
さまよわせた指先に触れるものがあれば良いのに
いつか消える臆病な獣のことを君は知らない
君がそんな困った顔をするなら もう僕は何もしないから
気付かないままでずっと前を向いていて
思い出と呼べる程度のことは片手で充分で
だけど 視えない深さで君と繋がっていたいんだ
ピアノ線くらいで丁度良い 先が切れていたってどうせ判らない
僕の耳を目を時を 止めたあの日の白昼夢
人ごみに紛れる君の鮮明で真っ白な映像
勝手に期待して 待ってみても良いのかな
ならせめて君の記憶の片隅に僕がちらつけば良い
僕の頭の中を君の爪が引っ掻けば良い
揺らぐ足元も諦めた溜息も全部捨てられずにいる
逃げるような衝動も気付かずに掠れていくから
切ないだとか寂しいだとか 有り触れた名前を付けるくらいなら
またいつか、が壊れないように祈ってる。
2008.06.04